第3回 若者の背中をボーンと押そう
日本から米国へ留学する学生が減少していることはご存じでしょうか?
IIE(Institute of International Education)調査によると、日本人留学生総数は35,282人で前年比8.9%減、全米の留学生総数の6.1%、国別では第4位となっています(2006年調査)。2000年では46,497人で全米の留学生総数の8.5%、1位中国、2位インドについで3位が日本でした。
1980年のこの調査では約8万人の日本人留学生が米国で勉強をしていましたが、2007年では4万人弱と半減しているのです。企業が社員の留学にあまり投資をしなくなったということと、米国の大学院が経営修士号MBAプログラムに日本人を受け入れなくなったことが大きな理由と思われます。ランキングについてはコンピューター分野でのインド、中国の研究所や企業の活躍がめざましいですから1、2位というのも理解できますね。日本は2000年の時は3位でしたが、今は韓国に抜かれ4位です。また、日本では四年制大学に入学するのではなく、短期語学研修プログラム(女性が多いですね)が多く、とにかく1か月でもアメリカへ行ってみたいという人達が多いようです。
さて人数や順位はともかく、留学に期待することは何でしょう? 志望動機を見てみると
2 国際性を身につけ、視野を広めたい
3 日本より学ぶ機会が多く、教育内容が多様で魅力があるから
4 様々な人々との交流を通じてネットワークを築きたい
5 留学経験を将来の仕事に役立たせたい
6 アメリカの文化を学び経験したい
7 ある特定の専門分野の教育の質・内容が日本より優れているから
というのが上位の答えでした。「日本ではなかなか経験できないことを留学で体験したい」ということのようですね。これらの体験をとおして、大いに人生に活かして欲しいものです。
昨年まで私が勤務していた会津大学では一期生から数えて約30名の卒業生が、コンピューターサイエンスの専門分野だけではなく、レクリエーション、プリメデカルスクール等で大学院の修士号及び博士号のプログラムで勉学・研究に励んでいます。留学した学生の数は少ないですが、きちんと修士号を取得し、帰国後、専門分野を活かして大手の企業へ就職した学生も多くいます。また、留学した彼らのうち数人は米国ワシントン州で開催される「ジョブフェア」で仕事を見つけ、アメリカだけでなくヨーロッパ、アジアに仕事を見つけ活躍しています。
私が指導した彼らのほとんどは大学在学中に留学を考えたこともなく、本当に未知の世界だったと思います。でも、今では自分でしっかりした価値判断力を持ち、独立した精神力で仕事をしているようです。
大切なことは、しっかりとした留学志望を持っている若者の背中をポーンと押してあげることですね。留学前も留学中も不安でいっぱいなのですから。