第1回 国際交流
国際交流、異文化間の交流が海外と活発に行われ、国と国の間が近くなり、異文化の人達を理解し、親睦を持つ経験をしている人達が国内で非常に増えています。しかし、国際交流という言葉を本当に理解しているかと言うと少々疑問です。われわれ日本人の間でも人を真に理解するのは難しいのに、言葉、習慣、思考パターンの全く違う外国人の人達を理解するのは実に難しいことと思います。今回はその国際交流について少し考えてみましょう。
国際交流には短期、長期にわたる交流があり3種類ぐらいに区別されます。まず、第1の国際交流は3日〜1、2週間の期間に、外国のお客様(公的、私的)に茶道、華道のような日本の伝統芸能を紹介や体験していただく場合や、短期間のホームステイなどです。この場合、お客様にとっては非常に珍しく、日本のいい印象を持って帰国します。この時点で、日本人を美化して理解するレベルに達するのは難しいですね。半面、日本人はお客様に喜んでいただく接待で精いっぱい、相手を理解するところまで到達していません。
第2番目の交流は半年から1年ぐらい、交流プログラムで日本の学校で学んだり、また専門分野の研究をしたり、ビジネスで来日したり、ホームステイしたりする場合です。この場合、深い日本の伝統芸能や日常生活に接することができるので、日本人を少しだけ理解する可能性があります。ホームステイをしている外国人を「何故われわれと同じような行動様式がとれなのだろう」「何故こちらの意図していることを察してくれないのだろう」等と疑問をもち、時には理解に苦しみながら生活していくことが多いかと思います。外国人は日本人がいろいろ疑問を持っている等とは夢にも思わないことがあるのです。もし、疑問があれば「何故そう言わないのですか?」の質問があります。
第3番目の交流は3年以上日本で長期の仕事をしたり、大学部生、大学院生等です。このころになると外国人も日本人の社会に溶け込むのが、至難の業と思う人達が多くなります。仕事や日常生活上で考え方が全く違ったり、論理的に議論をするのが難しいと思う人達が多くなるのです。外国人と日本人は理解しようと努力したり、またあきらめたりすることもあるでしょう。お互いに無視するか、憎みあうという最悪の事態になりかねません。
真の国際理解、異文化理解は簡単ではありません。2〜3週間以上議論しても少ししか理解できない場合もあるのです。時にはわだかまりが残るかもしれない。議論は決して相手と喧嘩をしているわけではない。外国人は意見を述べているだけなのです。しかし、大抵の日本人は文句を言っていると誤解しやすい。またすべてにおいて、くどくど説明しなければ理解してもらえないので、黙っている方がいいと無口になるか、また相手に渋々同意してしまうことがあるのです。滞在が長ければ長いほど、お互いに理解するのは難しいと外国人も日本人も思ってしまうのです。
外国人と長期に交流を続けるキーは外国人が帰国されたあとどれぐらい連絡をとりあうかで決まります。短期間滞在した外国人とは最初は御礼の手紙のやりとり、その年のクリスマスカード、翌年のクリスマスカードの交換で大体交流が終わってしまい、そのうち音沙汰がなくなってしまう。これでは人生の一瞬の交流に終わってしまうことになりますね。真の交流はその人と20年、30年と年に一度のクリスマスカードでいいので、ずっと続けることが大切なのです。
長期に滞在している外国人とはコミュニケーションを持ち続けることです。お互いに分かり合うためには感情的にならず、徹底的に議論し合うことです。日本に必要なのは、コミュニケーションの文化を外国の人達と一緒に構築していくのが平和へつながると確信しています。年に一度のクリスマスカードもコミュニケーションの大切な位置づけです。その季節がまたやってきます。